帯状疱疹のその後ですが、昨日まで経過が芳しくなく、というのも抗ウイルス剤のおかげで水ぶくれは増えなかったのですが、とにかく痛い(ちなみに腕の内側にできました)。痛み止めが効かないし、気持ち悪いし。そこで、元旦の救急で紹介してもらった内科医を受診することに。
やれやれという気持ち。
しかし!
診てくれたドクトル・カルデナスがとってもいい男で、一気に気分が回復する(たぶん50代で、おそらくランナー。その体つきと、本棚に並べられた医学書の間にあって異色の存在感を放っていた「トライアスロン」というタイトルの大判の本からして)。そして、6種類もの薬を処方される。2つは日本でもおなじみらしいゾビラックス(飲み薬と軟膏)で、残りは痛み止めらしい。そしてその痛み止めのうちの一つ(昼ご飯と一緒に飲め、と言われた。食間?だとしたら食事中という解釈は間違っている)が劇的に効いて、今や帯状疱疹にかかっていることをまったく忘れるくらい痛みから解放されました!ばんざい!ドクトルありがとう。
ランナーといえば村上春樹です。
箱根駅伝のサッポロビールのCMもHPで見てしまいました。
先日国際交流基金というところの図書館があることを知って、近くに行ったついでに案内してもらったときに、村上春樹著『若い読者のための短編小説案内』(文春文庫、2004年)を借りてきました。本の中で紹介されている短編小説はなんと一冊も読んだことがなかったのですが、「僕にとっての短編小説」と「まずはじめに」の章で述べられている短編小説の書き方が非常に興味深かった(もちろん本編も面白かったです)。長編小説の書き方については、『走ることについて語るときに僕の語ること』において述べられていたと思います。
研究者にとって長編小説とは、博論やそれに類する規模の大きい論文であり、短編小説は、より小規模の小論文や研究ノート、書評という風に置き換えられるかもしれません。ただ、おそらく言えることは、優れた小説を書く方が優れた論文を書くよりも難しいだろう、ということですが。
「しかし現実問題として、長編小説を一冊書き上げるにはずいぶん長い時間がかかりますし、多大のエネルギーが必要とされます。それなりの準備も必要だし、覚悟も必要です。いつもいつも書けるというものではありません。一冊長編小説を書き上げると、心身共にへとへとになってしまいます。
(中略)
それに比べると、短編小説を書くことは多くの場合、純粋な個人的楽しみに近いものです。とくに準備もいらないし、覚悟みたいな大げさなものも不要です。アイデアひとつ、風景ひとつ、あるいは台詞の一行が頭に浮かぶと、それを抱えて机の前に座り、物語を書き始めます。プロットも構成も、とくに必要ありません。頭の中にあるひとつの断片からどんな物語が立ち上がっていくのか、その成り行きを眺め、それをそのまま文章に移し替えていけばいいわけです。」
ああ、この辺、すごくよくわかるなあと思いました。もちろん、村上さんも述べているように、「『短編小説なんて簡単に書けるんだ』と言っているわけでは」なく、物語をゼロから作り出すというのはやはりそれなりに大変な作業なわけですが。
短編小説、すなわち私にとっての小論文や書評を書く上で、参考になったことと、すごくよくわかるなと思ったことを、書き留めておこうと思います(「」の中は、本書からの引用です)。
・短編の枠組み自体は一息でさっと書いてしまって、書き直しに時間をかける。
・ひとつのフラグメントの中に「何か大事なものが込められている」という感覚を大事にする。
・短編小説を、ひとつの実験の場として、あるいは可能性を試すための場として使ってみる。
・「逆の言い方をすれば、作家は短編小説を書くときには、失敗を恐れてはならないということです。」
・「そしてほとんど一息でこの話を書き終えたあと、ふと気がつくと、僕は回復していました。落ち込みの時期はもう終了していました。逆に言えば、僕は自分を回復させるために、この作品を書いたようなものかもしれません。短編小説にはそのような具体的な効用もあります。」
私にとっても先日書いた短い書評は、まさに自分を回復させるために書いたところがあって、そして書き終わったあと、本当にそうした効用を実感したのでした。
長くなりましたが、今日はこの辺で。
2 件のコメント:
帯状疱疹、痛みがなくなってよかったですね!
お大事にしてください。
村上春樹からの引用、勉強になりました。何か書くことが、すごく面白いことに思えてきました。
サンタとの交渉はうまくいったのかな?
けいこさん、ありがとうございます。心持ち、水ぶくれがしぼんできたように見えます。
そして、『若い読者のための・・・』で取り上げられている短編小説が、ほとんどすべてコルメックスの図書館に入っていることに今気づきました。そういえばコルメックスは、昔の日本文学全集とかけっこう持っているのでした。今度行ったら読んでみようと思います。
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