8.10.2012

アジとアルゼンチンの意外な接点

長崎にはいろいろとおいしいものがあるのですが、昨年末くらいからずっと夢に見るくらい食べたかったもの、それはアジの刺身でした。新鮮なアジをたっぷりのおろししょうがとしょうゆでいただきます。これがねぇ、うまいんですよ。はっとするほどにね。

どこのアジでもいいというわけではなくて、やっぱりおいしいのは、自宅から徒歩10分の祖母のうちのとなりにある魚屋さんのアジなのです。この魚屋さんのおばちゃんは、私のことを生まれたときから知っているらしく(私はその3軒くらい先にあった小さな産婦人科で生まれた)、顔を見せるたびに「あら〜、よかお嬢さんになって」とおまけに魚やらお惣菜やらをくれます。

ここの若旦那のよしおさん(おばちゃんの息子、推定年齢50歳)はなかなかすごい人で、昔――80年代から90年代にかけて――魚屋を継ぐのが嫌で、なんと単身アルゼンチンに渡り、パンパでガウチョ(=牧童、南米のカウボーイ)を10年やりました。魚屋が嫌で、地球の反対側に行って牛を育てたという・・・。長崎の田舎で、よしおさんを凌ぐビッグなロマンと行動力を持ち合わせた人を私は知りません。ちなみに彼はまだしばらくパンパに暮らすつもりだったみたいですが、お父さん(おばちゃんの旦那)が危篤との知らせを受けてやむなく帰国し、その際に周りから包囲されて長崎に引き止められ、そのまま魚屋を継いで今日に至ります。
すごいわ、よしおさん。

そんなよしおさん、3年ほど前に私がこれからアルゼンチンに行くというと大変喜んでくれまして、「アルゼンチンは、人のよかもんね〜」と話してくれました。スペイン語も簡単な会話は今でも流暢で(というか、言葉がまったくわからない状態で一人パンパに行ったなんてかっこよすぎる)、そのことがおばちゃんにはちょっと自慢みたいでかわいい。「こん人は、私には全然わからん言葉ばしゃべるとですよ」って。

ああ、アジの刺身が食べたくなってきた。
ちゃんと今夜のメニューにも勘定済みです。


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