マイケル・ドイルという有名な国際政治学者のレクチャーがあった。
彼の新しい論文について。テーマは,「一国はいつ戦争を始めることができるのか。予防戦争は可能なのか」 (「アメリカはいつ戦争を始めることができるのか」だろ!とつっこみたくなりますが)
19世紀に起こったキャロライン号事件(自衛権行使の要件を確立したといわれている)のように,明らかに自衛権行使が正当と認められることはほとんどありえないけど,イラク戦争時のブッシュ・ドクトリンはあまりに判断が早急すぎた,という問題意識から,彼は自衛権行使としての戦争を開始できる要件について語った。その中で彼は,まずは国連の安全保障理事会の決議を待つべきで,しかし,その承認が得られない場合でもその結論が政治的で不当であり(特に常任理事国の拒否権),戦争の正当化が可能な場合は,適宜他の国際機関等に持っていくべきだと言っていた。ちなみに,安保理事会は承認しなかったものの,自衛戦争として正当化可能な事例として,キューバ・ミサイル危機と1981年のイスラエルのイラク原子炉爆撃事件をあげていた。
彼は,1980年代に「デモクラティック・ピース論」を展開したことで有名な学者だ。デモクラティック・ピース論というのは,「民主主義国どうしは戦争をしにくい」という法則を経験則的に証明しようとしたもの。昨日のレクチャーでも,「私は民主主義をすごく信頼しているんだ」と話していた姿が印象に残っている。民主主義を信頼し,そして国際機関の役割に重きを置いている彼の話は,「どうにかして少しでも戦争を起こしにくくできないか」という発想に基づいているような気がした。ケンカの売り方・買い方を枠に入れて,審判もおくことによって。正直に言って,そういう彼の姿勢はすごく真摯なものに見えた。
でも。
逆に言うと「正当な戦争」があるということが,やはり私には信じられない。
例えば日本でも北朝鮮の問題があるし,実際に危機や戦争があるのだから,ラブ・アンド・ピースを語るだけでは,現実から目をそらしているだけだと言うのもわかる。
でも。
ただの人間として,戦争はだめだ,絶対にいやだと泣き叫ぶ側でしかこれからもありえない気がしている。
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