はじめにスープ、次にメキシコ風ご飯(ピラフみたいなもの)かパスタが出て、肉や魚などのメイン、最後にゼリーやプリンといった簡単なデザートがつく。メロンやタマリンド、スイカ、レモンなどを搾ったフレッシュ・フルーツのジュースも料金に含まれていることが多い。値段には幅があるが、だいたい400円から500円程度。街にはいくつもこのコミーダ・コリーダを出す定食屋さんがあって、お昼時には近くで働くサラリーマンやOL、学生たちでいっぱいになる。屋台と並び、まさにメキシコの母の味。
だいたい昼食は家で済ませる私だが、最近は気分転換と野菜を食べることを目的に、近くのコミーダ・コリーダ屋さんに出かけることが多い。うちの近くの定食屋さん、よく考えたら名前も知らないのだが、威勢のよいおばちゃんが元気に応対してくれるお気に入りのお店。
いつも元気なこのおばちゃんは、オーダーをとったり料理を運んできてくれるときに、私のことを必ず母親が子どもに対して言うような調子で、「かわいいお嬢ちゃん」(①chaparrita:直訳すると、背の低いぽちゃっとした女の子のこと。②mi vida:直訳すると、私の生き甲斐=いとしい人のこと。)と呼ぶ。私は背が低くもぽっちゃりもしていないし、おばちゃんの娘でもないのだが、メキシコでは(特に大衆文化的に)こうした「大げさな」呼びかけをわりと普通に耳にする。字義通りの意味は薄れ、単なる親しみを込めた呼びかけとして定着しているのだろう。
初めて店に行ったときからこうした調子なので、普通のことだとわかってはいても、けっこうびっくりしてしまう。でも、親しみをもって呼んでくれることに、決して悪い気はしない。しかも、店に来るみんなを包んでしまうようなおばちゃんのおおらかな人柄が、まさに「母」の暖かさをもっていて、こうしたやりとりにもすぐになじんでしまうのだ。それぞれの定食屋には、それぞれの看板母の姿あり。こうした暖かみも、コミーダ・コリーダの魅力かもしれない。
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