私は小さいころ、控えめにいってもまったく読書少女ではなくて、例えば小学校の図書館に足を運んだことは数回しか記憶にないし、借りたのも「怪傑ゾロリ」シリーズくらいのものであった。中学・高校でも、自分の意志で読んだ本はほとんどない(マンガ以外)。唯一の例外は赤毛のアンシリーズだったけれど、これも本当に面白いと思ったのは1巻だけで、その後の展開はちゃんと読まなかったような気がする。
ひとのせいにするのは簡単なのでひとのせいにすると、これには少なからず私が世代的に属する「つめこみ教育」と「課題図書」なる制度に起因するところが大きい気がしている。
「労働は最上のものであり、最悪のものである。自分の意志で行なう労働ほどよいものはないが、強制されてやる労働ほどわるいものはない」
というようなことをいったフランスの哲学者がいるが、その通りだと思う。強制的に読まされる読書ほど不愉快なものはないし、強制されて走らされる持久走ほど気持ちの萎えるものはない。
課題図書で面白いと思った本などひとつもなかった。まったく素晴らしくないことに、私は昔から要領だけはよかったので(そして話をでっちあげることも得意だったので)、ちゃんと読まなくてもてきとうな読書感想文を書くことはできた。エルマーの冒険も、ビルマの竪琴も、ちっとも面白くなかったなー。しかし、今思えば明らかなのは、面白くなかったのはこれらの本ではなくて、私の精神だったのだ。面白くない精神で、面白くない読み方をしていたのだから、その本を面白いと思うわけがなかった。そしてその根本には、「強制して読まされている」という意識があったのだと思う。
オトナになって、読書が大好きになった。大学の学部生時代は、それまで全然本を読んだことがなかったことからのリハビリ期間だったような気がする。でもこのころは、有名な本をひととおり読んだと「いえる」ことの方が大事だったみたいで(ハタチのころというのはそういうものなので、それはそれでいいと思っている)、斜め読みした内容についてはなんのしるしも残さずに通り過ぎるばかりで、まだ読書が楽しいとは思っていなかった。そういう読書の仕方のくだらなさに気づき、ちゃんと読むことの楽しさを知ったのは、けっこう最近になってからのことかもしれない。そうなるにつれて、フィクションとあらば特にえり好みせずに読めるようにもなった(友人の娘さんに借りて読んでみたいわゆる「ケータイ小説」はダメだったけど)。お酒なんかもそうなんだろうけど、好きになればなるほど、コダワリのようなものは薄れていくものなのかもしれない。
自由な意志で行なう読書ほど楽しいものはないと思う。まだ「課題図書」なる教育法があるのかはしらないが、あるとすれば即刻取りやめるべきだ。特に良書であればあるほど、課題に指定すべきではないと確信している。なぜなら、間違いなくこどもはその本を嫌いになるから。『モモ』とか、人生のどこかで必ず読むべき本は、課題なんかにしてはいけないと思う(で、どこが小学校5、6年生向けなんだろう?かなり難解だと思うのだけど。挿絵が入っているところか?しかし、大島かおりさんの改訳版翻訳の素晴らしさは、児童文学のみならず、翻訳文学一般においても相当秀でていると思う)。
で、こうして書いていて思ったのだけど、研究についても以前は斜め読みが多かった気がする。ハクロンを書くには、ある程度膨大な量の研究書を読まないといけない。引用しない文献にだって、読んでおくべき超有名本が何冊もある。好きで研究しているので強制感はないのだが、それでも以前は「これで読んだことにしよう」という悪しき要領の良さに甘んじていたことには間違いない。でも、それじゃやっぱり薄っぺらくて、ひとにもばれるし自分にもばれるんですね。こんなんじゃくだらないと気づいて、今更ながら本や論文をちゃんと読むことに気をつけている今日この頃です。その分時間はかかるのだけど、いそいだって、ねぇ。
あー、マンガ読みたいなあ。
2 件のコメント:
なんかすごい納得。私はどちらかというと読者小学生だったけど、それは本が好きだからではなく、小学校の図書館の本をたくさん読んだらよい子だと思われるからそうしていたからであったのだなと気づいたよ。課題図書と似ていて、本を読む子=よい子、っていうまかり通った概念に支配されていたのだなと。こはるにはそんな小学校にはなってほしくないなぁ。好きならば好きな本を自分で選んで読んで欲しい。
ちなみに、漫画だと、今はガラスの仮面の新刊があついよー!
なるほどねー。「よいこ」の読書家でも、課題図書嫌いでも、本自体が嫌いになっちゃえば、それは完全に教育の失敗だろうね。こはるちゃんは大丈夫よー、かしこいパパママがついてるからね。てか、ガラスの仮面てまだ続いてるのがすごすぎる。同作者のアマテラスが昔好きだったけど、あれも途中でなぜか途絶えたいわくつきだし。帰ったらマンガもいろいろ気になる新刊が出ているであろう、たくさん買い込んで家にこもって読みたいと思います!
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